市場動向

家を建てたい場所の11.1%は他県 東京都在住者は28.2%が他県を希望、注文住宅の問い合わせ15万件を分析

家を建てたい場所の11.1%は他県 東京都在住者は28.2%が他県を希望、注文住宅の問い合わせ15万件を分析
図1:建築希望エリアと現住所の関係(N=152,149)。28.6%が市区町村の外を希望。
図1:建築希望エリアと現住所の関係(N=152,149)。28.6%が市区町村の外を希望。

約3割が「今の市区町村の外」での家づくりを希望

タウンライフ株式会社の研究機関であるタウンライフ総合研究所は、注文住宅一括プラン比較サービス「タウンライフ家づくり」に寄せられた問い合わせを分析し、注文住宅の検討者が「どこから、どこへ家を建てに行くのか」を明らかにしました。対象は、2025年2月9日〜2025年3月31日と2026年2月16日〜2026年4月15日の問い合わせのうち、申込後の取り消し分などを除いた152,149件です。検討者の現住所と建築を希望するエリアを照合し、「同じ市区町村」「同じ都道府県の別の市区町村」「他の都道府県」の3つに分類しています。

集計の結果、建築希望エリアが現住所と同じ市区町村だった人は71.4%(108,579件)でした。同じ都道府県内の別の市区町村は17.6%(26,719件)、他の都道府県は11.1%(16,851件)です。7割強が住み慣れた市区町村での家づくりを望む一方で、28.6%は市区町村の境界を越えた土地での建築を考えていることになります。

建設予定地の状況を見ると、「未定」が68.3%で大半を占めました。続いて「別住所(現住所とは別の土地が決まっている)」が11.2%、「現住所と同じ(建て替え等)」が9.8%、「検討中」が9.6%、「自宅を売却(住み替え)」が1.1%です。建て替えの場合は現住所での建築が前提となるため、検討者全体の比率を押し下げます。建設予定地が「未定」または「検討中」の検討者に限ると、市区町村の外を希望する割合は30.2%(同じ都道府県の別市区町村18.8%、他の都道府県11.5%)となりました。

図2:現住所の都道府県別「他県で建てたい」割合(上位12、2,000件以上の都道府県)。東京都が28.2%で突出。
図2:現住所の都道府県別「他県で建てたい」割合(上位12、2,000件以上の都道府県)。東京都が28.2%で突出。

東京都在住者は28.2%が他県での建築を希望

現住所の都道府県ごとに、他の都道府県での建築を希望する割合を比べると(問い合わせ2,000件以上の都道府県が対象)、東京都が28.2%と突出しました。上位は次のとおりで、大都市圏の都府県が並んでいます。一方、地方圏では多くが4〜6%台にとどまりました。

  • 東京都:28.2%
  • 神奈川県:16.6%
  • 大阪府:14.8%
  • 京都府:14.1%
  • 千葉県:13.8%
  • 埼玉県:12.7%

東京都在住者の他県希望率は、2025年分が29.7%、2026年分が26.6%で、どちらの時期も全体を大きく上回っています。行き先は埼玉県20.4%、神奈川県20.3%、千葉県20.0%とほぼ横並びで、隣接3県の合計は60.8%です。その次に長野県5.1%、静岡県3.4%が続きました。

千葉・埼玉は東京からの希望が上回り、神奈川とはほぼ均衡

県をまたぐ希望(16,851件)を「現住所→希望エリア」の組み合わせで見ると、上位3つは東京都→埼玉県(1,003件)、東京都→神奈川県(999件)、東京都→千葉県(984件)でした。これに神奈川県→東京都(887件)、埼玉県→東京都(561件)が続きます。反対方向の件数と比べると、千葉県は「東京→千葉」984件に対して「千葉→東京」202件で4.87倍、埼玉県は1,003件対561件で1.79倍と、東京からの希望が明確に上回りました。一方、神奈川県は999件対887件で1.13倍にとどまり、両方向の希望がほぼ同じ規模で存在しています。なお同研究所は、県をまたぐ希望の件数はフォーム上で選べる対応エリアや提携企業の分布の影響を受けやすいため、都道府県間の大小は傾向として捉える必要があるとしています。

図3:東京都と周辺3県の間の建築希望(双方向)。千葉・埼玉は東京からの希望が上回り、神奈川はほぼ均衡。
図3:東京都と周辺3県の間の建築希望(双方向)。千葉・埼玉は東京からの希望が上回り、神奈川はほぼ均衡。

20代以下は市区町村をまたぎ、60代以上は県をまたぐ傾向

年齢を記入した119,922件を年代別に分析すると、移動の範囲に違いが見られました。同じ都道府県内の別の市区町村を希望する割合は、20代以下が24.1%で最も高く、30代19.4%、40代14.2%、50代16.0%、60代以上11.2%でした。他の都道府県を希望する割合は、20代以下10.7%、30代10.2%、40代9.5%、50代12.5%、60代以上15.8%で、40代が最も低く、60代以上が最も高くなっています。若い世代は同じ都道府県の中で範囲を広げてエリアを探す傾向が強く、60代以上は県境を越える選択が相対的に多いという結果です。

図4:年代別の建築希望エリアと現住所の関係(年齢記入分 N=119,922)。
図4:年代別の建築希望エリアと現住所の関係(年齢記入分 N=119,922)。

人口移動の統計との比較と、調査データの位置づけ

総務省「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果」(2026年2月3日公表)によると、2025年の東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)は12万3,534人の転入超過(前年比1万2,309人縮小)で、東京都の転入超過数は6万5,219人と全国最多でした。同研究所は、人口移動報告は全年齢・全目的の1年間の実際の移動、自社データは注文住宅検討者の一時点の希望であり、対象も期間も異なるため水準は比較できないとしています。そのうえで流れの向きに注目すると、東京都は人口全体では転入が転出を上回る一方、家を建てたい場所としては、東京都から他県を希望する件数(4,914件)が、他県から東京都を希望する件数(2,153件)を上回っていました。

同研究所は、東京都在住者に他県での建築希望が多い背景として、都内の土地価格の高さがあると考えています。また、長野県・静岡県など首都圏外への希望と働き方の変化との関係や、60代以上の県をまたぐ希望と子世帯の近くへの住み替え・出身地へのUターンとの関係については、本データからは検証できない仮説であり、今後の調査で確かめる必要があるとしています。今回の数値は同社サービス利用者の傾向で、住宅取得者全体の移動を代表するものではありません。同研究所では続報として「越境検討者の予算・間取りの特徴」「主要都市圏ごとの希望エリアの広がり」などを順次発表する予定です。

出典:タウンライフ株式会社

NEXT

続きを読む

家を建てたい場所の11.1%は他県 東京都在住者は28.2%が他県を希望、注文住宅の問い合わせ15万件を分析 市場動向 次の記事 九州大学箱崎キャンパス跡地の共創拠点「BOX FUKUOKA」、施設運営事業者にZero-Ten Parkが採択 福岡市東区の九州大学箱崎キャンパス跡地地区で開発が進められているイノベーション施設「BOX FUKUOKA」の施設運営事業者に、株式会社Zer… この記事を読む